前立腺癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)について
当院では2014年1月より前立腺癌に対するIMRT(強度変調放射線治療)を開始いたしました。
前立腺癌は放射線治療が非常に有効な疾患です。従来の3次元原体照射(3DCRT)で高線量を照射すると膀胱や直腸など隣接する臓器へ副作用のリスクが高まりますが、強度変調放射線治療(IMRT)であれば、周囲の臓器への線量を減らし、前立腺に高線量を集中させて照射することが可能です。すなわちより高い治療効果を得ると同時に、周辺臓器への線量を低減し副作用を軽減します。
強度変調放射線治療(IMRT)と3次元原体照射(3DCRT)の比較
前立腺癌治療時の比較
前立腺癌の放射線治療の副作用のひとつである直腸出血を起こさないために、ターゲットには放射線を当て、前立腺の周辺にある直腸には放射線を避けて照射します。
ターゲットにピタッと形を合わせて、照射を多門で行います。(各照射野内は均一な放射線濃度)
ターゲットに各照射野内で照射線の強度を変調することで形を合わせながら、各照射野内でリスク臓器を避けています。それにより直腸の高線量が低減されます。
線量分布の比較
低線量域(50%領域)
※IMRTでは直腸の低線量域も低減しています。
高線量域(95%領域)
※IMRTでは直腸に高線量が当たっていません。
治療について
治療時について
当院では、前立腺マーカーを用いなくても位置照合が行えるため、マーカー刺入(右写真)は行っておりません。
当センター前立腺癌治療成績
治療成績:190人(2012年8月~2015年10月)
※2014年4月よりIMRT(強度変調放射線治療)開始
・PSA再発 1人
・前立腺癌での死亡 0人
・他病死 1人
・Grade3(日常生活への支障、手術必要)以上の有害事象 0人